
新規事業に挑戦したとき、上司から返ってくる「呪いの言葉」。
「うちの強み活かしてないよね」「今の顧客が求めてない」「それ、うちじゃなくてもよくない?」「うちっぽくない」
JTC代表・山田さんの「しくじり先生」シリーズ。
挑戦の芽を摘む4つの呪いの構造を解き明かします。
「うちの強み活かしてないよね」「今の顧客が求めてない」「それ、うちじゃなくてもよくない?」「うちっぽくない」──JTC所属の山田さんが実際に集めた大企業のリアル失敗談から、4つの呪いを紹介します。
まず「うちの強み活かしてないよね」の呪い。
大企業では自社アセットの活用が暗黙の前提になりがちですが、本当に市場が求めているものと自社の強みが一致するとは限りません。
にもかかわらず「自社の強みありき」で企画を縛ってしまうことで、ビジネスチャンスを逃している。
人材・販売網・信頼といった組織資産も含め、「拡張可能な強み」として再定義することが必要です。
次に「今の顧客が求めてない」の呪い。
大手保険会社・30代男性の実話。
ミレニアル世代向けの「生活習慣改善×ゲーミフィケーション」サービスを企画したところ、「今のお客さんが求めているとは思えない」と一蹴された。
既存顧客の声だけを聞いていては、新しい市場は見えてきません。イノベーションのジレンマそのものですが、大企業では既存顧客との関係性が強いため、この呪いから逃れるのが特に困難です。
「うちじゃなくてもよくない?」は最も厄介な呪い。
総合商社・20代女性の実話。
海外教育市場向けのEdTechプラットフォームを、現地パートナーも収益モデルも揃えて提案した。返ってきたのは「ビジネスとしては筋がいいかも。でも他社でもできるよね」。
新規事業の初期段階では「なぜ自社がやるのか」の答えが明確でないことが多いかもしれません。しかし、やってみなければ自社ならではの価値は見つからない。
この「やる前に正解を求める」文化が、挑戦の芽を摘んでしまうのです。
大手食品メーカー・20代女性の実話。
食品廃棄を活用したアップサイクル事業を提案したところ、「うちは食べ物を売る会社だから」と返された。
4つの中で最も曖昧で、最もダメージが大きい呪いです。
「うちっぽさ」に明確な定義はなく、個人の感覚で蓋をされてしまう。食品会社だからこそ環境課題に取り組む社会的インパクトがある、という視点はそこにありません。
教訓は「事業の周辺にこそ、未来の中核事業の種がある」ということです。
大企業の「らしさ」とは何か?新規事業はなぜ狭い定義に縛られてしまうのか?呪いの構造を理解することが、呪いを解く第一歩になります。
ARC channel
アークチャンネルは、新規事業開発の実践者たちが好き勝手喋るVTRの内容を、スタートアップスタジオの先輩社員の神谷と、大学生インターンの五十嵐がゆるく、まじめに掘り下げていくトーク番組です。\n\n・大企業特有の「新規事業の闇」\n・スタートアップの人材採用や育成の舞台裏\n・AI時代ならではの企画ノウハウ\nなど、『そこまで言っていいんかい!』な新規事業のリアルに切り込みます。
中身が評価されているのではなく、決まった型の言葉で却下されるからです。「うちの強み活かしてないよね」「今の顧客が求めてない」「うちじゃなくてもよくない?」「うちっぽくない」の4つが典型で、根拠が論理ではなく感覚や思い込みなので反論もしにくくなっています。
強みを技術や資産だけに置かず、人材・販売網・信頼といった組織資産まで含めて、拡張可能な形に定義し直すことです。会社紹介に書かれている強みを鵜呑みにしていると、過去の強みに未来を縛られます。
現在の顧客セグメントに縛られすぎています。そのくせ普段の業務では、既存顧客だけでは達成不可能な目標を立てたり、新しい顧客を獲得してこいと言ったりする。今の顧客を基準にせず、未来の市場と新たな価値観の獲得を前提に語るべきです。
市場に価値があり自社の収益になるなら、他社にできることは、やらない理由ではなく急ぐ理由です。そもそも自社がやる必然性は、事業を進める中でアセットと噛み合ったときに後から出来上がるもので、始める前に証明を求めるのは順番が逆です。
企画の精度で解ける部分と、構造で決まっている部分は別ものです。呪いの言葉が返ってくる場面のほとんどは後者で、新規事業の定義が社内で共有されていないために判断がその時の感覚になっています。必要なのは競争優位より、うちがやると決める意志の優位です。