
「今日のイベント、すごく良かった!」──その言葉が出る夜に、呪いは始まります。
「しくじり先生」シリーズ第3弾。
JTC代表・山田さんが、匿名で寄せられた実話をもとに、善意のイベントが成果ゼロに終わる3つの構造的な罠を解説します。
製造業・新規事業開発部門、30代男性の実話。
オープンイノベーションイベントは大盛況。
「これだけの企業が集まればできないことはない」と夜は居酒屋になだれ込み、翌朝も興奮冷めやらぬままお礼メールを送った。
──返事は来なかった。
大企業という「村」に閉じこもりすぎた人間が、久々に外に出ると舞い上がってしまう。自社に持ち帰った後に何をするか、誰も考えていなかったというシンプルな話です。
通信会社・エンジニア部門、40代男性の実話。
社内ハッカソンで会場は熱気に包まれ、「これで新しいプロジェクトが生まれる!」という期待感に満ちていた。ところがイベントが終わると、決定権を持つ経営陣はどこにもいなかった。
創出されたアイデアは全て空振り。残ったのは無力感だけ。
参加者の熱量だけが消費されて終わるこのパターン、心当たりがある人は多いはずです。
製薬会社・マーケティング担当、20代女性の実話。
「10年後の製薬業界をどう変革するか」をテーマにしたワークショップ。
ナノロボットによる予防医療、バーチャル空間での診断──夢は語れた。でも「明日から何をするか」は誰にも描けなかった。
さらにそこへ、社長も参加したと聞いた「いい子いい子されたい」幹部が無謀なワーキングを立ち上げ、現場はデスマーチ化。
3年後、あのワークショップのことを誰も口にしなくなっていました。
3つの呪いに共通するのは、イベント参加が目的化してしまう構造です。
山田さんが語る処方箋とは一体_________?
自社の宿題を明確にしてから参加する、持ち帰った後のフォロー体制を確認する。
イベントを成果に変えるヒントがここにあります。
ARC channel
アークチャンネルは、新規事業開発の実践者たちが好き勝手喋るVTRの内容を、スタートアップスタジオの先輩社員の神谷と、大学生インターンの五十嵐がゆるく、まじめに掘り下げていくトーク番組です。\n\n・大企業特有の「新規事業の闇」\n・スタートアップの人材採用や育成の舞台裏\n・AI時代ならではの企画ノウハウ\nなど、『そこまで言っていいんかい!』な新規事業のリアルに切り込みます。
自社だけで完結させず、外部の企業や技術と組んで新しい事業を生み出す取り組みです。イベントやハッカソンがその入口になりますが、参加そのものが目的化すると、満足度が高いほど成果が出ないという逆転が起きます。
「令和の鎖国」と呼んでいる状態です。普段は自社という村に閉じこもっているので、鎖国を解くと舞い上がり、参加者全員が虚勢を張って良いことばかり話します。自社に帰った後どう活かすかを誰も考えていないため、翌朝のお礼メールから先が続きません。
決定権を持つ人がその場にいないからです。会場は熱気に包まれても、経営陣や事業部門の責任者はイベントに参加しておらず、終わった後もそのプロジェクトが誰の目にも触れません。このようなイベントには、実行に移す側の人がいないことがほとんどです。
理想の未来像を描くこと自体は重要です。ただ、現実的な技術やリソース、実行可能なステップに落ちていないと絵に描いた餅になります。経営層に良く見られたい幹部が無謀な構想を実現するワーキンググループを作り始めると、そこからデスマーチが始まります。
参加する前に自社の宿題を決めておくことと、持ち帰った後のフォロー体制を先に確認しておくことです。事業化を狙うなら、どこまで実行者が介在し運営がコミットしているかを確かめてから参加します。目的を事業化か交流のどちらかに決めるだけで、後の徒労は激減します。